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麻疹(はしか)ウイルス
「麻疹ウイルス」は大きさが100~150nm(1ナノメートルは1mmの100分の1)で23種類の遺伝子型があります。 「はしか」というと子供がかかる感染症というイメージが強いのですが、成人の感染者も増えています。重篤な合併症をおこすことがあるため、国レベルの対策が行われています。 「はしか」は免疫を持っていれば発症しにくい感染症です。そのため、一度かかった人は発症しません。本来ワクチン接種を受けていればほとんど発症することはないのですが、最近は、ワクチン未接種の人だけでなく、子供のころに接種した人も「はしか」にかかるケースが増えています。その理由はワクチンの接種後、長い年月がたち、免疫が低下してしまったためです。 かつては、1回ワクチンを接種すれば「はしか」が流行するたびにウイルスと接触して免疫が強まり(ブースター効果)感染を防ぐことができました。しかし、近年ははしかの大規模な流行が少なくなり、ウイルスに触れる機会が減り、免疫が弱まっています。そのため、流行時にはワクチンの接種が勧められています。 麻疹ウイルスの感染経路は感染者からの飛沫感染と空気感染です。非常に感染力が強く通勤電車の中に1人の感染者がいると、30分程度の間に90%に人が感染するといわれています。 吸い込んだウイルスは上気道に付着して全身にまわり、10日から12日の潜伏期間を経て発熱し、その後、発疹が出ます。1週間で自然治癒しますが、問題は若年者は肺炎や脳炎などの重い合併症を起こすことがあります。また、妊婦さんが感染すると、障害をもつ子供さんが出現する可能性があります。