ピロリ菌診断と治療
当院でのヘリコバクターピロリの診断と治療について
ピロリ菌がいると、胃の粘膜に慢性的な炎症を起こし、ピロリ菌の代謝物が潰瘍を作る、ことがわかっています。潰瘍や胃炎を繰り返す原因がピロリ菌の存在にあり、炎症を繰り返すことによって、萎縮性胃炎、そして胃がんの発生の原因になると考えられています。
ヘリコバクターピロリ菌の存在確認の方法としては
- 鏡検法(内視鏡で組織検査する)
- 迅速ウレアーゼ試験(内視鏡で採取した組織で検査)
- 尿中(便中)ヘリコバクターピロリ抗原測定
- 採血での抗ヘリコバクターピロリIgG抗体価の測定
- 尿素呼気試験
があります。胃十二指腸潰瘍でピロリ菌陽性者については2000年11月から除菌治療について保険治療が可能となりました。また、胃炎でピロリ菌陽性者については、2013年2月から保険の適応で、治療することが可能となっています。
ピロリ菌の治療
抗生物質2種類と抗潰瘍剤(プロトンポンプ阻害剤)1種類を合わせて7日間続けて内服する治療です。
現在、1次除菌療法(最初の除菌治療)としてプロトンポンプ阻害剤・アモキシシリン・クラリスロマイシンの3剤を用いた治療が行われています。1次除菌で、残念ながら除菌がうまくいかなかった場合には、プロトンポンプ阻害剤・アモキシシリン・メトロニダゾールの3剤を用いた2次除菌が可能となっています。
保険診療でのピロリ菌の除菌の条件>(自由治療は行いません)
- 半年以内に内視鏡検査を行って胃炎や潰瘍の指摘があること
- ピロリ菌の存在確認が行われていること
よくあるご質問とそれに対するお答え
Q1:人間ドックでバリウムを使った胃レントゲン検査をしたら、胃炎の判定で、オプション検査でピロリ菌の抗体価が陽性でした。ピロリ除菌は出来ますか?
A1:バリウム検査では、潰瘍の判定はできても、胃炎という正確な判定は出来ません。胃炎は内視鏡検査で判定することになっています。したがって、この場合は、内視鏡検査を行ってください。それで胃炎(その原因がピロリ菌であること)が確定すれば、ピロリ菌の治療が行えます。
Q2:1か月前に人間ドックを行い、内視鏡検査を行いましたら萎縮性胃炎の診断で、オプションで、ピロリ菌の抗体価を測定したら陽性でした。
A2:人間ドックの結果の書類(報告書)をお持ちください。内容を確認して、その通りでしたら、治療は可能です。
Q3:1年前に人間ドックで内視鏡検査を行っていて、その時に行ったピロリ菌の抗体価が陽性でした。治療は可能でしょうか。
A3:保険治療の際は、最近半年以内の検査の結果に基づいた治療になりますので、1年前の人間ドックの結果では治療できません。