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演題7「検診がきっかけとなり根治的な治療ができた多発早期大腸がんの一例」

杉並区医師会学術研究発表会(2022年2月26日)
あべ内科消化器科クリニック 安部 幸一

症例

67歳、男性 <職業>建築業(大工)、<家族歴>高血圧、<嗜好>喫煙(+)

現症

身長168㎝、体重95㎏

経過

令和2年度(2021年2月に実施)の杉並区大腸がん検診で便潜血反応陽性のため、同年4月に当院で大腸内視鏡検査を施行したところ、直腸(Rs)に大きさ25㎜の1pの腫瘍、またRbに20㎜のLST様病変を認めた。生検による病理組織は両者とも、Group3, Low grade adenomaの診断であったため、内視鏡的治療目的でA病院に紹介した。同病院でRsの病変に対して内視鏡的切除術(EMR)を行った。病理組織は高分化型管状腺癌でT1b(1000μm)深達度はSmではあったが、Ly(+)で脈管侵襲を認めたため、後日、直腸の部分切除をする予定となった。また、Rbの病変に対しては内視鏡的剥離術(ESD)が望ましいと考え、B病院に紹介となった。B病院で同年8月にRbの病変に対してESDが施行され、病変は一括切除となり、病理組織は、深達度m の高分化型管状腺癌であった。その後、同年9月にA病院外科で直腸の部分切除が行われ退院となった。直腸の悪性腫瘍であったが、人工肛門になることなく根治的な治療が成功した。

結語

大腸がん検診のみならず便潜血陽性の場合は積極的な大腸精査が今後も強く望まれる。

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